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CEDEC CHALLENGE

サウンドクリエーター大喜利!各社対抗「ジングルライブ制作」結果報告

(セッションの内容はこちらを参照下さい)

ゲーム業界各社の現場で活躍されているサウンドクリエーターによる、ジングル(短いアイキャッチとなる音楽や効果音)のライブ制作を行うというCEDEC初のイベント。サウンド制作機材を会場に持ち込んで頂き、その場で初めて開示される「お題」に挑戦。配布された映像に対して制限時間35分でライブ制作。終了後は誰が作ったものか分からない状態で作品を披露し、聴講者の皆さまに投票していただきました。

●優勝作品紹介

優勝者:株式会社バンダイナムコスタジオ 井上 拓

優勝作品はこちら
※お題となった映像に、優勝者のサウンド(当日のもの)をそのまま付けています











優勝者コメント:

イベント出演が決定してからの約1ヶ月間、走り込み、食事制限等の厳しいトレーニングを行なった努力がこういう形で実って、大変嬉しく思います。観客席にナムコサウンドの面々が多かったため、組織票の疑いもありますが、まあそんなことは忘れましょう。

イベント前日に、解説の佐野電磁氏とともに国外出張から帰ってきて、正直当日はかなりふわふわしていましたが、おかげで変に緊張せずにすんだのもよかったのかなあと思います。観に来てくださった皆様、そして私に投票してくださった皆様、本当にありがとうございました。このチャンピオンの座を守るべく、引き続きトレーニングを重ねていきますので、次回の開催を楽しみにしております!



制作した楽曲について:

一番こだわったのは、画面と音のタイミングを合わせることです。特に画面の切り替わりと、「Computers Entertainment Developers Conference」の文字には必ず音を当てなければいけない、と最初に映像を見た時に感じたので、ちょうどいいBPMを探すのに最初の1~2分を割きました。 また観ている人を惹きつけるには展開も重要なので、20秒ほどの映像でしたが、場面展開に合わせて大袈裟にメリハリをつけたつもりです。 このように先にしっかりと全体演出を組み立てられた点は、サウンドディレクションとコンポーズを両方やらされる…もとい、こなす必要のあるナムコサウンドの強みが出せたのかなあと感じます。 音色的には、いかに短時間で高級感を出せるかの勝負だと思い、パッド、ディレイを使って音を重ねて厚くする方向に持っていきました。また大きめの会場なので、低音は芯のある音をしっかり出して、迫力を大事にしました。

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司会者コメント(株式会社カプコン 山本 亮治)

まずは、関係者様並びに聴講いただいたみなさまにとにかく感謝です!

草案段階から弊社内でも賛否と申しますか、実現に向けての懸念を数多く指摘されまして 猛烈にブルーだったことを思い出します。

しかしですね、CEDEC運営委員会様のご協力とチャレンジャーの方々、スタッフの方々の陣容が固まっていくにつれ、「こりゃイケる!」と日々妄想が膨らんで仕方がなかったのも事実です。

そもそもやりたかったことは至極シンプルでして 「会社の垣根を越えて、サウンドマン同士のお祭りをやる!」です。

…ただそれだけでは採択していただけませんから、各社サウンドクリエーター様のクリエイティビティをまざまざと見せつけていただきつつ、その制作過程をみなさんと共有し、知見と刺激を現場にお持ち帰りいただく。そして次代のクリエーターたる学生さんには夢を持っていただければ・・・などと、そんなことを考えつつご提案書をまとめておりました。

あとはフィナーレですね。「蛍の光」を光吉さんとみなさんとで歌う、というのも私の中では夢でした。オールスタンディングの光景はCEDECがCEDECを超えた瞬間だったような気がします。

私はMC席という特等席で本当に幸せな時間を過ごさせていただいたのですが35分の制作時間の中で、解説の佐野さんの「解説を超えた解説」に苦戦しつつも集中力が高まっていった、ちょうど15分経過したあたりだったでしょうか。チャレンジャーの方々4名のモニタを見つめる角度、鍵盤に向かう腕の上がり具合、全てのシルエットが見事に重なり、私の立ち位置からは神々しいばかりに「ひとつ」に見えておりました。

光吉さん、木村さん、井上さん、加藤さん、文句なくカッコ良かったです。

佐野さん、大島さん、超絶解説でした。「解説」の概念が変わりました。そして緑が好きになりました。 中條さん、廊下で捕まえてすいませんでした。でも最高でした。 中西さん、土田さん、採択していただいた勇気とそこから実現にむけてのご尽力に感動です。 カプコンスタッフのみなさん、本当にみなさんのおかげです。

そして聴講者のみなさん、120分という長丁場にも関わらず 多くの方にお越しいただき心から御礼申し上げます。 ゲームサウンドに関わるみなさんは最高です。ありがとうございました。 普段はバラバラにゲームづくりをしているみなさんがひとつになって1本タイトルを作り上げたような気がします。そんなイベントでした。

終演後、聴講者の方々が笑顔とともに「こんなのCEDECじゃねーよ!」と言ってくださったことが忘れられません。

笑顔の方を信じていいですよね。

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解説者コメント(株式会社DETUNE 佐野 信義)

この企画はCEDECに留まらず、地上波テレビ番組化はもとより、海外局へのフォーマット販売までも想定出来るポテンシャルを感じました。
そんな中、来場者の皆様の好奇のまなざしを一身に集め、おそらく今までの業務では感じた事がなかった類いの強い緊張感と戦いながら楽曲製作を続けるステージ上のサウンドクリエーター陣は一種官能的でもあり、その上解説者という役割をエクスキューズに彼らを思いのままに煽りまくる至福の時間はこの夏一番の思い出です

解説者コメント(株式会社カプコン 大島 香織)

普通なら二の足を踏む「競わせる」という趣旨のセッションであるにもかかわらず、チャレンジャーとして登壇してくださったサウンドクリエーターの方々の勇気と、その登壇を許可して下さった各社の方々、そして、期待以上の高濃度トークで会場の雰囲気をヒートアップさせて下さった佐野さんに大感謝です。考えていたより観に来ていただいた出席者の皆さんを巻き込めなかったことと、サウンド職以外の方には興味をもたれにくかったかもしれないのが、反省点です。これをふまえ、どなたか次につなげてください!

CEDEC運営委員コメント(株式会社 バンダイナムコスタジオ 中西 哲一)

サウンド分野初の試みとなるライブイベントでしたが、おかげさまで盛況に終えることができました。35分という限られた時間で成果を出すためには、何を優先してどのように組み立てるか、各チャレンジャーのアプローチの違いがとても興味深かったです。
いつも私たちは結果を作品として聴いていますが、作品が作られる過程を見る機会はなかなかありません。この過程の中に、「コンセプト決定」「引き出しからの道具選び」「優先度と取捨選択」という普段の業務の縮図が見えました。刺激的で貴重なイベントとなり、本当に感謝しています。関係者ならびに聴講していただいた皆様、ありがとうございました。

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●イベント風景紹介

チャレンジャー登場の様子。緊張の中、意気込みを語ってもらいました。

イベント開始の合図。ここから35分のライブ制作バトルが始まります。

ライブ制作中の様子。背後を徘徊する解説者(佐野氏)トークの中、迫りくる時間との戦い。集中力も重要!

ラストはセガ光吉氏のリードによる「蛍の光」を全員で熱唱!これはCEDECなのか!?

●優勝作品セッションのスクリーンキャプチャ画像紹介

参考までに優勝者の井上氏によるセッションのキャプチャ画像をコメント付きでご紹介します。

シーケンサーは「Ableton Live 8」を使用。

独特の音と独特の使用感で結構クセが強いソフトですが、なんせUIがどのDAWよりも軟派で派手でテンションがあがる。使う理由はそれだけで十分です。そろそろメジャーアップデートしてくれ!CEDEC作品はこのくらいのトラック数でした。

ミキサー画面はこんな感じです。使いそうな音は、事前にサンプルスロットに貯めておきました。音のストックがしやすいのはLiveのいいところ。

「Propellerhead Reason 4」は音が太いのと、潔いくらい歪むディストーションが素晴らしいです。CVを吐けるなど、パッチの自由度が高いのも便利で楽しい。他に「KOMPLETE 8 MASSIVE」もよく使います。これもいろんな波形をいろんなパラメータに挿せるので重宝しています。

「IK Multimedia T-RACKS3 Vintage Compressor 670」。670のモデリングで、コンプにしては若干重いのですが、音がぶっとくなるので愛用してます。この画面はマスタートラックですが、ベースにもほぼ必ずかけます。
ベタですが「Waves Platinum」のプラグインも頻繁に使います 。

短い時間ながら、こわだりたい部分はオートメーションを使い、よりイメージする音へよせてゆきました。時間があればもう少しオートメーションを細かくいじりたかった・・・

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