直感からは連想できないリング型デバイスを企画・開発、さらには検証を重ねて、ゲームデザインにまで昇華した。余暇や趣味といった通常のゲームプレイの枠を超え、プレイヤーの実生活を変化させるような体験は、その特化したハードを含めて唯一無二。健康を意識したゲームデザインの最新として、示した方向はとてつもなく大きい。

コンセプト「運ぶ」を軸に、すべての要素がゲームデザインとしてまとまっている。世界観の独自性、映像的に留まらない振動などの表現、小規模なネットワークの繋がりなど、新規性と洗練を両立させながら、個別の要素を作家性の元で集積させたと言える。

複数の時代をまたぐ多層的なストーリー、複数のパート、複数の主人公という、ともすれば破綻しかねないほどの複雑さを内包しながらも終始一貫した体験にまとめあげた。
多様な要素がからみあって感動を創出する、総合芸術であるビデオゲームの極致といえる作品。

物語の質を多くの作品が使い捨てテキストに依存する中『汎用テキストのループ』がプレイ時間の大部分を占めても楽しめるレベルに底上げした、秀逸なゲームデザイン。
既存の良質なゲームデザインである『人狼』をモチーフにしたとしても、その価値は損なわれるものではない。そのゲームデザインはテキストの物量主義に一石を投じ、希望を与えた。

「位置ゲーム」と「ドラゴンクエストのゲーム性」をうまく融合したタイトルで、特に「ドラクエらしさ」を意識したゲームデザインになっている。「位置ゲーム」でありながら、「特定の位置」の縛りが緩いため、普段の生活や行動に組み込みやすい点も、長期継続できる工夫につながっている。