インタビュー

ゲーム開発者アンケート第3回実施に向けて
~松原健二氏・藤原正仁氏にインタビュー

 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)では、コンピュータ・エンターテイメント・デベロッパーズ・カンファレンス(CEDEC)2015の公式サイトにて、ゲーム開発者を対象にした生活と仕事に関するアンケート調査を開始した。回答の募集期間は7月1日から8月7日までの予定。

アンケートページはこちら

 このアンケートは2013年から実施しており、今年で3回目となる。回答していただいた方には抽選で下記のプレゼントが用意されている。

CEDEC2016レギュラーパス(ディスカウントコードを発行) … 5名様
CEDEC2015シール(公募者に配布しているシール) … 20名様

 昨年までのアンケート結果は公開中(2014年:http://cedec.cesa.or.jp/2014/outline/enquete.html、2013年:http://cedec.cesa.or.jp/2013/enquete.html)。今年もアンケートを実施するにあたり、調査項目の作成協力をいただいている専修大学の藤原正仁准教授と、CEDEC運営委員会のフェローを務める松原健二氏にお話しを伺った。昨年のアンケート結果からどういった分析ができるのか、おふたりがユニークな視点で語っている。出てきている話題と、昨年のアンケート結果とを合わせてご覧いただきたい。

ゲーム開発者アンケートは定点観測することに価値がある

専修大学の藤原正仁准教授(左)と、
CEDEC運営委員会の松原健二フェロー(右)

――このアンケートを実施することになったきっかけを教えてください。

松原氏 : アメリカでは国際ゲーム開発者協会(IGDA)が中心になって、ゲーム開発者へのアンケートを毎年、世界規模で実施しています。しかし日本だけのデータは少なく、定点観測的なものはありません。自分達が世間一般から見て収入面や生活面でどのような状況にあって、どういう問題を抱えているのか。個人の問題ではなく、業界全体の広い形でどういうキャリアパスや問題があるのかといった情報がシェアされるべきだと思っています。ゲーム開発者の方々の役に立つように、というのが一番です。

 あとは業界の周囲の方ですね。「ゲーム開発会社はブラックなんじゃないか」とステレオタイプに感じている方が多いと思います。楽しいものを作ることに一生懸命なのは当然ですが、案外、普通の社会人として仕事しているんです。それなりの問題もあるし、それなりの誇りもあるし、成長のステップもあるわけです。そういうことを開発者と、開発者を取り巻く人達に伝えたいのです。そうなれば、ゲーム開発者に転職しよう、新卒で目指そうという人の励みになります。

 これは定点観測していくことに価値があると思います。それができるのは、6千人もの人が集まるCEDECが最もふさわしいと思い、CEDEC開発者アンケートとして始めました。

――昨年のアンケートでは約400人の方がお答えいただいていますね。

松原氏 : もっと多くの方に答えていただきたいと思っています。ただそれより気になるのは、一昨年答えたから、昨年は答えていないという方が多いということです。定点的に内部指標を知りたい質問項目もありますので、継続してお答えいただきたいと思っています。年とともに変化していく状況が見えれば、より価値が出ると思います。

――職種による収入や労働環境の違いが見えてくるので、その中で自分はどうなのかを開発者自身が振り返れるというのが面白いですね。

松原氏 : この3~4年、スマートフォンやソーシャルゲームの流行で、家庭用ゲームからソーシャルゲームへ、また他の業界からソーシャルゲームへといった、人材の流動性がかなり高くなりました。過去は、1つの会社で勤め続けるのが普通でした。多くのゲーム会社が新卒を取り始めたのも90年代以降ですから、業界には30代、40代くらいが多くなっています。そこに降って沸いたようにスマートフォンの市場ができて、この先どういうキャリアを進むのか考えている方が多いと思います。

――このまま続けてもいいのか、と考えますよね。

松原氏 : これでいいんだという解もありますが、そういう言葉だけではなく、データとともに見ることに意味があるのではないでしょうか。

ゲーム開発者は意外と高給取りなのか?

――では昨年のデータを見ながらお話しを伺いきたいと思います。まずはやはりお金の話ですね。職種別の給与を見ると、プロデューサーは別格として、技術職が高めで、グラフィッカーやプランナー、シナリオライターが低めになっています。

藤原氏 : 日本のプロデューサーは北米と違い、社内で勤務している方が多いのが特徴です。ゲーム産業での就業年数を見ても、かなり長く勤めている方が多いので、その分、給与も高くなっていると思われます。グラフィッカーなどの職種は女性が多いのが特徴で、男性と異なり一般職に凝集していることが影響して給与が低めに出ています。

 日本のプログラマは、海外と比較すると地位が低いと感じます。Gamasutra(海外のゲームサイト)で北米のゲーム会社の平均収入が出ているのですが、一番高いのが経営管理で984万円、続いてサウンドクリエイターが927万円、プログラマが903万円となっています。単純比較はできませんが、海外と比較した場合、日本のプログラマの地位向上は課題の一つだと思います。

松原氏 : 絶対額よりも見ていただきたいのは、日本の方が職種による差が小さいことです。日本は会社の中でチームを作るので、社員は同じ人事制度の中でやっていますから、職種の違いで大きく給与が違うということがありません。一方、アメリカはプロジェクト採用などがあり、職種で給与がばらつくのは当たり前です。

 アメリカでプログラマの収入が高いのは、作るゲームの性質の違いが影響しています。アメリカで最も人気の職種はプログラマですが、日本はゲームデザイナーです。アメリカでは見た目が綺麗であることやネットワークシステムの安定性などがゲームの面白さに繋がるので、そこで経験を積むことが楽しいわけです。そういう方に「ゲームデザイナーにならないか?」と言ったら、「お前は俺にプログラマの能力がないと思っているのか」と言われてしまいます。……とは言え、日本のプログラマの給料も悪くはないですよね。他の業界のプログラマと遜色ないと思います。

藤原氏 : 国税庁の調査によると、日本全体の給与所得者の2013年収平均値は413.6万円(平均年齢45.2歳)です。それを見ると、ゲーム会社の給与は高い(平均504.5万円)傾向にはあると思います。

――年齢的にも、ゲーム開発者は日本の労働者の平均より若い(アンケート回答者の平均年齢は34.4歳)はずですよね。

松原氏 : 35歳になる前でこの年収ですから、業界としてはいい給与なんじゃないでしょうか。エンタメはブラックで、真っ当な給与や福利厚生はないんじゃないかと思われていそうですが、実際は大手のほとんどが上場企業ですから、給与的にも悪くないし、会社としてもしっかりしていると思います。しかも日本は職種ごとの給与制度ではなく大抵は全職種を対象とする制度ですよね。会社から何の仕事を命じられても、いきなり給与が低くなるということはありません。日本はチーム力を大事にするんですね。

――ただそれでも、プランナーやデザイナーのリーダーと一般の給与の差がかなり激しく出ていますよね。人気職種でもありますが、ここはどう思われますか?

松原氏 : リードデザイナーやリードプランナーは、与えられる権限が非常に大きくなります。格闘ゲームなどではパラメーターを調整する専門のプランナーがいる一方で、世界観を決め、キャラクターの数を決め、ストーリーを絡めてという、ディレクションに近いことをやっている方もいます。それらが全てプランナーやゲームデザイナーに含まれるのです。仕事の内容が幅広いので、リーダーというと高い給与がもらえるのだと思います。一概に、安い給料で働いているということではないと思います。

藤原氏 : 勤続年数や年齢別のデータをみると、キャリアが短い人は給与が低く、長い人は高いという形です。給与は勤続年数や年齢とかなり相関がありますので、そういうところも加味していただきたいと思います。

――詳細なデータだと、やはり勤続年数の影響が大きいのですね。

藤原氏 : 例えばプログラマだと、ゲーム開発職とR&D(研究開発職)とで、勤続年数やゲーム産業での就業年数が大きく異なります。

松原氏 : R&Dには理工系の修士号以上の学歴を持っている人が多いです。英語の学術論文を読んで、それを活用して生産性を高めるとか、今までにない表現をするという仕事ですね。一方、R&D以外のプログラマは、ツールやライブラリを使いながら、ゲームのロジックを実装していく。それはそれで大変な仕事ですが、技術の先端性というとR&Dの方が重要視されます。またタイトルがヒットした時に開発者にインセンティブが支払われるということも行われますが、R&Dの人達は直接タイトルにかかわることは多くないので、リワードはたくさん出るわけでもありません。その分だけ基礎的な給与が高いという面もあると思います。

労働時間は適正? キャリアパスにおける問題も顕在化

――次は労働時間についての話題です。全体平均だと、週46.84時間と出ています。

松原氏 : 最近は1日7.5時間勤務が多いので、時間外労働が週10時間弱、月間で40時間くらいですから、残業がすごく多いとは映らないでしょう。これもゲーム業界が成熟した証だと思います。昔は忙しければ結構毎日遅くまでにやったものですが、今は開発の生産性も向上し、また多くの会社が上場していることもあり、しっかり管理をしています。

――ただ、繁忙期になると週64.41時間になります。

松原氏 : そうなると時間外労働が月間100時間ですから、やはり多いですね。繁忙期は忙しいことがありますが、恒常化することはあまりないと思います。

――ほぼ慢性化しているという人は、全体の2割くらいというデータです。

藤原氏 : 家庭用ゲームからソーシャルゲームへと移行するにつれて、サービスを常に更新しなければならないという働き方の変化も影響しているかもしれません。繁忙期がどうしても出てしまうのは、ゲーム開発者の就業の特徴だと思います。そこが一般の方に理解されにくく、ともすると、ゲーム開発者の社会的イメージにも影響しているのだと思います。

松原氏 : 「案外まともじゃないか」と言われますね。芸術なら残業時間や給与は関係なく、命をかけて作れというのがあるかもしれませんが、ゲームは産業なのです。家庭用でもスマートフォンでも〆切はあるので、その前はどうしても追い込むし、開発者には「こうすれば少し面白くなる」とか「ここは直したい」という気持ちがあります。しかし最後の頃には、プロデューサーやディレクターが「プログラムに触るな」と決めて、致命的なバグだけしか直さない。触ったら必ず新しいバグを作り出すリスクがあるので、触ってはいけないという期間を作ります。それまでは、できるだけいいものにしたいという思いがあって、繁忙期は出てくるかなと思います。

――労働時間では、プロデューサーがかなり長いというのも見えますね。

松原氏 : プロデューサーは自分のセクションの打ち合わせをやってから、自分の仕事をやろうという形になりますから、長くなりますね。職務の責任に見合う職位と給与がありますから。

藤原氏 : その辺りはキャリアの積み方にも出てきていると思います。現場に専門職から入って、マネジメント職に移るか、専門職を続けるかという大きなキャリアの方向性があります。そこで専門職からマネジメント職への移行に葛藤を抱える人もいれば、むしろ専門職を追求したい人も多いのではないかと思います。調査全体を通じて、どうやったらマネジメント力を改善できるかが大きな課題の一つとして挙げられていました。

松原氏 : ゲームを作りたいから、現場から離れたくないという気持ちは理解できますね。マネージャーを育てるための研修やさまざまな機会を会社側がもっと提供していくことが大切と思います。

――業界自体が若いこともあって、マネジメントをしている人も開発している人も、変わらずスライドするだけという状況があるんでしょうね。これが10年、20年経つとどうなるかはわかりませんが。

松原氏 : そうですね。90年代に新卒でゲーム業界に入た人は、もう皆さん40代半ばくらいになっているんですね。ゲーム産業の成熟化に伴い、それらの人達がマネジメント職に行くか、それともエキスパートで現場を貫くか、そういう問題も顕在化してくる時代になったと思います。

 90年代より前はゲーム業界の就職機会は大きくなかったのですが、90年代後半から2000年代からは、新卒で何百人も採用する大企業が出てきました。私は1986年に大学院を出て就職しましたが、ゲーム会社はよほど探さないと見つからない状態でした。ゲーム業界で新卒採用が普及し始めてから、まだ30年も経たないんですよ。

――今まさに働き盛りを迎えた人達が、これからどうするのかということが、アンケートを続けることで見えるかもしれないということですね。

松原氏 : プロデューサーなどになって、バリバリ働いてそれなりに収入を得る、というポジションがちゃんとあるということですね。

男性と女性の意識の差

――現在の仕事や生活の満足度という項目で、精神的な辛さはあるが、仕事への適正がないと思っているわけではない、という面白いデータがあります。他の業種と比べたわけではないので何とも言えない部分もありますが、どう思われますか?

松原氏 : 仕事への不適応や仕事内容の問題ではなく、労働時間的にはそんなに忙しくないので、漫然とした疲労のようなものでしょうか。/

藤原氏 : こちらは性別で見ると、女性の方がより疲労が顕著です。女性の回答は全体の14.7%ですが、無理をしているところもあるように思います。

松原氏 : 男性社会の職場であることは否めないですね。そもそもゲーム市場が男性に偏っているので、男性が遊ぶものを男性が作っていると言えばいいのかもしれません。女性が働きたいと思っても、遅くまで残業したり、繁忙期があったりと必ずしも環境的に女性には難しい部分もあるかもしれません。産休、育休や時短も取れるようになっていますが、だからこそチームのみんなに迷惑をかけていると感じてしまうんじゃないでしょうか。「会社も仕事も嫌じゃないけれど、自分が女性だから周囲から気を遣われている」と感じてしまうのかもしれません。

藤原氏 : ゲーム産業は日本に限らず世界的にみても、男性の開発者の割合が多い状況です。そこで、私は女性の開発者にインタビュー調査をしたことがありますが、男性の上司や同僚に相談することが難しい問題や仕事と生活の調和などについて悩みを抱えていたり、ロールモデルが存在しないといった課題に気づきました。これは、女性だけの問題に矮小化するのではなく、男性も含めて検討していくべき課題だと思います。

松原氏 : そこには女性の管理職についての問題もありますね。CEDECでは女性向けセッションもやっていて、女性ゲーム開発者の生き方の情報共有をしていただくセッションを設けていますので、活用していただきたいと思います。

日本の開発者はスマートフォンを強く支持する傾向

――今後3年間におけるゲーム産業の成長にとって、あなたが重要だと思うプラットフォームは? というアンケートでは、スマートフォンが圧倒的な支持を集めています。日本のゲーム開発者は、スマートフォンのゲーム開発をやりたいんでしょうか?

松原氏 : 家庭用ゲームを作ってきた人達の中には、自分もそういうゲームをやりたいし、市場だってまだありますよ、という考えを持っている人は結構います。そうは言いながら、スマートフォン市場がこれだけ伸びてきていると、自分がやりたいかどうかはともかく、重要であるということは多くの人が賛成するでしょう。自分が作ることに関しては、本人の考え方ですね。自分は大勢の人に楽しんで欲しい、デバイスは何でもいいという開発者は、スマートフォンを受け入れやすいと思います。

 やはりダイバーシティ(多様性)が出てきたんじゃないかと思います。スマートフォンに1か0かで移っているわけではなく、スマートフォンも出てきたからこっちもやろうかという感覚ですね。国内市場では確かに家庭用ゲームが減ってきて、スマートフォンが大きくなっていますが、ゲーム市場は伸びていて1兆円を超えています。総額が変わらずにスマートフォンに乗り換えたのではなく、スマートフォンで日本のゲーム産業が伸びているんです。

 コンソールゲームからソーシャルゲームへの人の流れが出てきたのは事実ですが、市場が全体として大きくなっているということは、まだ家庭用ゲームを遊んでいる人もちゃんといるということです。言わば、やりたい仕事ができるということですね。しかし3年前まではフィーチャーフォンも大きかったですし、ソーシャルゲームもフィーチャーフォンで遊ぶものでしたが、あっという間にスマートフォンに取って代わられました。ということは、3年後はどういうデバイスが主流になるのかわからないビジネスだということですよね。

――フィーチャーフォンの時代には、ゲーム開発者は携帯電話にほとんど興味がなく、ゲームなら携帯ゲーム機でやればいいじゃないかと言っていました。スマートフォンが出てからもその傾向は見られましたが、今はこうなっているというのは、とても面白いと思います。

松原氏 : 世界で見ると、日本はスマートフォンの比重がかなり高いです。例えばPlaystation 4の売り上げ台数で見ると、日本では現時点で150万台くらいですが、北米では2,000万台で、10倍以上の差があります。Playstation 2の頃は、北米が日本より市場が大きかったとしても、せいぜい3~4倍で、10倍ということはありませんでした。今こうなっているのは、北米が大きくなったというより、日本の家庭用ゲームが縮んでスマートフォンに流れているためです。

 ある予測によれば、5年後の世界のゲーム市場で最も大きいと見られているのは家庭用ゲームです。日本では、家庭用ゲームは廃れてスマートフォンに全部変わるのではないかとメディアで書かれますが、世界的に見ると全くもってそんなことはありません。6月にロサンゼルスで行われた世界最大のゲームイベントE3の会場では、スマートフォンのゲームを見かけることはほとんどありませんでした。フィーチャーフォンのようにまたまた日本はガラパゴス化してしまうのかもしれません。ただ日本の家庭用ゲームも、去年が一番の過渡期で、今年は大型タイトルも多数出ますから、これからきっと増えるでしょう。

藤原氏 : この意識調査はIGDAの開発者満足度調査でも実施されていて、今後5年間におけるゲーム産業の成長にとって重要なプラットフォームとして、家庭用ゲーム機の支持が49%となっています。日本の調査では、今後3年間におけるゲーム産業の成長にとって重要なプラットフォームについて尋ねた結果、スマートフォンが93.5%と顕著に高くなっており、変化の過渡期の現状を踏まえて回答されていると感じます。また、この調査結果で特徴的だったのは、携帯電話と業務用ゲーム機を除いて、自らが携わっているプラットフォームを支持していた点です。今後、この意識の差がゲーム開発やビジネスにも影響してくるように思います。

松原氏 :意識の違いと言えば、欧米ではValve社のSteamが家庭用ゲームに匹敵する大きなプラットフォームだと思われています。しかし日本では洋ゲーファンならSteamは当たり前ですが、それ以外ではあまり知られていませんね。PCオンラインゲームも世界では安定したビジネスですが、日本はスマートフォンの方がやはり人気です。

――スマートフォンのゲームと言えば、「パズル&ドラゴンズ」だけで万単位の人を呼べるイベントが開催できる状態ですから、相当なものですね。

松原氏 : 2012年2月に出たタイトルが、3年後でもまだランキングで1位とはすごいですよね。一部のタイトルが寡占化するというのは日本も欧米も似ていて、SupercellとCandy Crushが相変わらず上位にいます。3年前にベスト50にいたスマートフォンゲームのほとんどは消えていますが、非常に数少ない長寿タイトルが市場のトップにいるというのがスマートフォンの面白いところです。これはタイトルこそ違うものの、日本でも海外でも変わらないです。

生活実態や意識にも踏み込む興味深いアンケートを実施

――ここまで見てきたとおり、アンケートで色々なデータが出たわけですが、アンケートの量と質という点で、もっと色々なデータが必要だと思われますか?

藤原氏 : 量については最初のお話しにあったとおり、2013年に実施された第1回調査に回答していただいた方が2014年の第2回調査にあまりお答えいただけていなかったので、第3回調査にはぜひご回答をいただければと思います。質については、やはり男性で正社員として就業している方の意見が結果に反映されているように感じます。それが現実なのかもしれませんが、女性やミドル以降の方、時短勤務やフリーランスとして就業している方など、多様な方々からもご回答いただきたいと思います。自由記述の回答を見ると、最初の頃は問題点を指摘する声が多かったのですが、最近では自分達で業界をよりよくしていこうとする声が寄せられ、むしろ改善案が増えてきているのが大きな変化です。ゲーム開発者の方々を取り巻く環境は劇的に変化を続けていますので、経年的に調査を実施して、このような情報をシェアすることが重要なのだなと思いました。

――これは私の個人的な見方ですが、CEDECに参加するのは経済的・時間的なゆとりがある方が多いのではないでしょうか。

藤原氏 : 自由記述の回答を見る限り、会社の都合でCEDECに参加できないという意見もありましたので、必ずしもCEDECに参加している人が回答しているわけではありません。従業員の規模で見ると、中小企業が6割、大企業が4割となっていますので、それほど偏りはないと思います。ただ地方の方にあまりお答えいただいていません。

松原氏 : 昨年から地方のCEDECを開催していますが、こういう地方のゲーム開発者の活性化というのも1つのテーマだと思っています。ゲームというのは非常に知識集約型で、大規模な設備は要らず、PCがあれば開発できます。そのため人が集まるところで切磋琢磨していい知恵を出すという形がやりやすく、首都圏に集中しやすいのです。とはいえ回答の8割が首都圏というのは極端だと思います。

――アンケートに対するアクションとしては、地方CEDECもその1つというわけですね。

松原氏 : 北海道の大学で講演した際に、あるIT企業から、スマートフォンが出てきてソーシャルゲームが流行したことによって、自分達の参入のチャンスだと考えているとお伺いしました。アンケートで色々な地方のニーズが伝わり、これも地方CEDECを開催するというアクションに結び付いたと考えています。

――今年のアンケートはどういった内容になっていますか?

藤原氏 : できるだけ多様な意識や行動の実態について反映できるように配慮しています。第1回調査ではフリーランスなど雇われない働き方をしている人が答えにくいという意見があったので、その辺りをできるだけ反映できるように改善しました。今回はそのほかにも、生活や仕事の実態をより正確に把握することができるように、通勤時間などに関する質問も用意しています。調査で得られた結果は、報告書に反映するように努めていますので、ぜひ忌憚のないご意見やご提案をお寄せいただければ、次回以降改善していけると思います。

松原氏 : 通勤時間については、何時に始業、終業なのかも聞いています。生活実態を把握するという視点で、通勤や勤務の時間の長さだけでなく、時間帯を調べたいと思っています。裁量労働制が多いので、朝から働いている人もいるし、午後から来る人もいるという風になるのか。あるいは案外チームワークなのでみんな揃って遅い時間に集中しているのか、というのが明らかになってくるはずです。結果を見て、「こういう働き方でいいのかな?」と見直すきっかけになって欲しいですね。

藤原氏 : 仮説ですが、福岡などで働いている人は通勤時間が短いのではないかと思います。首都圏で働いている人と比べて、生活の質も大分異なるのではないかと思っています。

――それは地方活性化に繋がるかもしれませんね。

松原氏 : 首都圏だと毎日片道2時間通勤という方もいますよね。そうなると時間を有効に活用するための条件が非常に狭くなります。今回のアンケートでは、そういったゲーム開発者の生活の実態に踏み込んでいきたいですね。

 他には社会との関連の質問を入れました。仕事に誇りを持っているか、家族からどう見られているか、世間からどう見られていると思うか。これは開発者の意識ですね。実態の数字では案外まともな数字が見えるのですが、開発者自身がどう思っているのか。これは非常に興味深い結果になると思います。子供に目指してもらいたいか、というのもあります。これで「絶対そう思わない」ばかりだったら……。

――産業として問題がありますよね(笑)。

松原氏 : そうなれば明らかにアクションを起こさなくてはならないですね。でもそうではなく、「そう思う」という答えが出てくるといいですね。

藤原氏 : 集計してみなければ、結果が想像できない質問もありますので、ぜひお答えいただきたいと思います。

――ちなみに今年の回答者への特典はどうなっていますか?

松原氏 : 来年(2016年)のCEDECのレギュラーパスを抽選でプレゼントします。CEDECに来ない人でも答えられますので、「当たったら行ってみようかな?」という感じでいいと思います。通常だと3万円(CESA正会員でない場合)します。

――では最後に、記事をご覧になる方々にメッセージをお願いします。

松原氏 : ゲーム開発者の皆さんが、普段どういうような思いや苦労をし、将来に対してどういう考えを持って仕事をしているのかを共有し、自分達一人一人の位置を確認するというこのアンケートは、非常に価値があると思います。CEDECはこれを毎年続けていきますので、自分が参加したアンケートがどうなったかを見て、いいゲームを作るきっかけ、参考にしてください。お願いいたします。

藤原氏 : 現役のゲーム開発者の方にご回答いただくアンケートですが、これを見てゲーム開発者やゲーム業界に関心を持ってもらえる人もいるでしょうし、なによりもゲーム開発者の方々自身が自らのキャリアを客観的に振り返る指標にもなると思います。ゲーム開発者について、まだ社会に十分理解されていないところがたくさんあると思います。アンケートを通じて、ゲーム開発者について理解を深めていただける契機となれば幸いです。また、あらゆる人が自覚的にゲームやゲーム開発者に関わっていくことで、持続可能な発展につながればと思います。ご多忙かと思いますが、ぜひともアンケートにご協力をお願いいたします。

――ありがとうございました。

石田賀津男(フリージャーナリスト / http://ougi.net

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