インタビュー:ゲームデザイン分野

「携わっている業務が限定的なものだったとしても物怖じせずに公募にトライしていただければと思います。」

ゲームデザイン分野 主担当
山口 誠
──ゲームデザイン分野のご紹介をお願いします。
山口:ゲームのユーザー体験やそれに伴うルール設計などを幅広く扱う分野です。具体的にはストーリーやキャラクター設計などの文学的な領域から、レベルデザインやマネタイズモデルといったロジカルな領域まで様々なテーマを担当しています。
基本的にはゲームプランナーと呼ばれる人やそれに類する人たちが主な対象となる領域です。
──この分野で扱うセッションの特徴はなんですか?
山口:扱う内容が多岐にわたるのが特徴だと思います。
ビジュアルアーツやビジネス&プロデュースなどの各分野とも関連が深いため、ゲームデザインがメインのセッションもさることながら、サブカテゴリーのような感じでそれぞれの領域の関心事項を取り入れて、ユーザー体験に関わる内容を幅広く扱うセッションも多いと思います。
──他の分野の要素も取り入れつつ、フレキシブルに展開しているんですね。
山口:そういう意味では「曖昧さ」が特徴とも言えますね。各分野のトピックを幅広くキャッチアップできるゲームデザイン領域ならではの特徴です。
──この分野で求めているトピックはなんですか?
山口:今年に関しては特に、コロナ禍でのプランナーとしてのコミュニケーション方法の変化ですね。
プランナーは自ら企画した体験を各職能へ「伝える」ことも一つの重要な仕事になります。これまでのように職場で直接頻繁にコミュニケーションをとることが難しくなった中、どのような手段でそこをクリアしているのか、というのはノウハウを持ち寄って共有していければと思います。
また、コミュニケーションだけでなく情報のインプット・アウトプットの方法も大きく変化したかと思います。これまで通りの動きができなくなった状況下でプランナーとしてどのようにスキルアップしていくかといったところでも知見が求められていると思います。
──確かに勉強会などもこれまで通りの開催というわけにはいかない状況でしたよね。
山口:はい、特にプランナー視点でのコミュニケーションアイデアやツールの活用術は求められていると思います。
──注目している技術はありますか。
山口:大きく分けて2つあります。
まず1つ目がゲームプランニングとしてAIをどのように捉え、導入しているかという点です。レベルデザインなどへの利用は増えてきていますが、ストーリーテリングやキャラクター設計など文学的なクリエイティブ領域での活用はまだ出てきていない印象です。
──確かに情緒的な創造というのはまだ人間の仕事、という印象がありますね。
山口:はい、そのような領域でどのようにAIを活かしているのか活かそうとしているのか、ビジョンやトライとともに活用へ一歩踏み込んだ事例などがあれば、是非聞いてみたいです。
──それでは2つ目は何でしょうか。
山口: 2つ目はVR/ARなどいわゆるXRといわれる現実拡張系のゲームデザインについてです。当たり前に普及しつつある今だからこそ、蓄積してきた事例や新たなノウハウをデジタルゲームの事例だけでなく、幅広いエンターテインメントの枠として活用されているデザイン例があればぜひお話しいただければと思います。
──山口さんが個人的にぜひ聞きたいトピックはありますか?
山口: 今までデジタル領域やゲームの領域につながりがほとんどなかった分野が、コロナ禍のリモート環境を機につながりを持ちはじめる動きに注目しています。
──昨年から仕事や学校、娯楽など非常に多くの場面でリモート環境が活用され始めましたよね。
山口: はい、その中でも教育については特に関心があります。過去にもセッションが行われたことがありますが、教育や学習の分野とゲームをつなぐようなお話には大変興味があります。今後はさらにICT教育の裾野は広がると思われます。そんな中、既存のゲーミフィケーションをはじめとしたゲームデザイン分野が持っているノウハウを活用することで教育の幅や可能性を広げるような教育分野へのチャレンジ例などがあれば、ぜひ講演いただきたいです。
──さて質問の方向が変わりますが、応募や登壇のメリットはどのように感じていますか?
山口: ゲームデザイン分野に関して言えば、例年他の分野に比べて講演数が少ない状況ですので、応募自体にチャンスが大きいと思います。若手の皆様にもぜひチャレンジしていただければと思います。
ゲームプランナーが公的な場で自身の活動を発信する機会は多くはないと思いますので、継続した業界活動においてCEDECで登壇することがご自身のプレゼンス向上につながると思います。またCEDECで講演した内容や、講演したこと自体が今後のビジネスにおいてのコミュニケーションでも、活用いただけるのではと思います。
──最後に応募を考えている方へのメッセージをお願いします。
山口: 本分野は扱う内容が多岐にわたるために自分の経験やスキル、ノウハウをどうアピールしていいか迷われる方もいらっしゃると思います。
専門性の高い内容に限らず幅広い知識が求められていますので、自分の携わっている業務が限定的なものだったとしても物怖じせずに公募にトライしていただければと思います。
──別の開発現場では非常に求められている知識かもしれないですよね。
山口: はい。実は新しいツールを日常的に使っていたり、日々変化する情報チャネルに速度感をもって飛びつき実体験したりと、若手の方が詳しいことやテクニックを語れることも多い分野なのではないかと思います。ぜひ新しいツールやチャネルを紹介するような感覚で応募いただけると非常にありがたいです。
全体としては、若い方に限らず、多くのゲームプランナーが公募し、講演することでゲームデザイン分野自体を成長させ、拡大させていくことができると思いますので是非皆様の積極的な応募をお待ちしています。
──皆様からのご応募をお待ちしています。本日はありがとうございました。