基調講演

Human Augmentation:人間拡張がもたらす未来

講演形式
基調講演
講演時間
08月26日(木) 09:45 〜 11:05
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第1会場
資料公開
予定なし
セッションの内容

人間の能力をテクノロジーによって増強・拡張させる技術と、背景となる人間の探求を統合的に追求する学問領域は、ヒューマンオーグメンテーション(Human-Augmentation)あるいは人間拡張学と呼ばれている。拡張の対象は、知的な能力に加え、身体能力・認知能力や人間の存在などを含み、さらに障害者や高齢者の能力補綴 (ほてつ)や能力回復も重要な対象領域となる。

ネットワークを介して人々やロボット・AI がそれぞれの「能力 (Abilities)」を結合し、相互に拡張し合うことで、ヒューマンオーグメンテーションはさらに発展する。モノのインターネットであった IoT (Internet ofThings) は、IoA (Internet of Abilities, 能力のインターネット)に拡張される。相互接続する関係は人間と機械、人間と人間、その複合型など多様な可能性がある。Human-Robot Interaction (HRI)に加えて、人間とAIがより密接に連携し、AIによって人間の能力が拡張する Human-AI Integrationも重要な技術・産業領域となるだろう。

ヒューマンオーグメンテーションが一般化すると、人間の働き方や交流の仕方も含め、社会全体の構造も変化していくだろう。本講演ではこのように多面的な波及効果が期待できる研究領域について議論したい。

暦本 純一

東京大学情報学環教授、ソニーCSLフェロー・副所長

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<講演者プロフィール>

東京大学情報学環教授、ソニーコンピュータサイエンス研究所フェロー・副所長、ソニーCSL京都ディレクター。情報科学者。世界初のモバイルAR(拡張現実)システムNaviCamを1990年代に試作、マルチタッチの基礎研究を世界に先駆けて行うなど常に時代を先導する研究活動を展開している。現在は、Human Augmentaion(人間拡張)をテーマに、人間とAIの能力がネットワークを越えて相互接続・進化していく未来社会ビジョン Internet of Abilities (IoA)や Human-AI Integrationの具現化を行っている。iF Interaction Design Award(2000)、日本文化デザイン賞(2003)、日経BP技術賞(2008), 日本ソフトウェア科学会基礎科学賞(2014), ACM UIST Lasting Impact Award(2014, 2017)、市川学術賞(2021) などを受賞。2007年にACM SIGCHI Academyに選出される。近著に「妄想する頭、思考する手」(祥伝社)
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