CEDEC2025
ゲームデザイン分野インタビュー

GD

ゲームデザイン分野 安明 真哉

ゲームデザイン分野における最新の特徴を教えてください。

安明

ゲームデザイン分野では「ゲームを面白くし、ユーザーの心を動かす」ことを目的にしたトピックを扱います。企画やディレクション、サービス運営に至るまでゲームデザインに連なる幅広い領域を取り扱っています。

最新の特徴としては、「遊びの多様化」があります。

AAA・インディーの開発の二極化、文化の面ではeスポーツ・メタバースの隆盛など、ゲームに対して様々な視点が必要になってきており、多様化に伴って活かせる技術や考え方も日々増えてきているため、より幅広い知見が必要になってきています。

また、作品作りの視点では、多様化していく中でどうやって存在感のある作品にしていくかも、開発現場の中で意識されてきているように感じます。

この分野で特に求めているトピックを教えてください。

shuji_kohata
安明

幅広い知見を求めているため、トピックにこだわらずに応募いただきたいです!

そのうえで、特に2025年に重要度が増していくであろういくつかのトピックを以下に紹介します。

「コンセプトを軸としたゲーム開発やゲームデザイン」
ゲーム産業の成熟化に伴って、開発チーム内での認識の齟齬をなくし、チームで明確なゴールを持って主体的に開発を進行するためのゲームデザイン手法やコンセプト設計、チームビルディング技術が求められています。

「AAA級のプレイヤーアクションやカメラの仕様」
「オープンワールドのステージ設計や配置技術」
昨今は世界市場向けのハイエンドな大規模開発が求められており、世界で戦えるリッチな仕様や大量のコンテンツをいかにデザインするかが重要になっています。

「コミュニティとの共創」
リリース前にファンコミュニティを育てる手法が当たり前になり、リリース後もユーザーの意見を開発・運用に役立てることの重要性が増してきていて、ゲームデザインの試行錯誤やアイディアに関しても「共創」が求められています。
現代だからこそできる共創の形や工夫に関する知見があればぜひ応募してください。

「生成AIによるドキュメント作成、アイディア出し、データ量産」
すでに取り入れている開発者の方も多いと思います。
最新技術を活かした企画作業の効率化など、生成AIを取り入れて上手くいったことや直面した課題をぜひ共有してください。

CEDECでの登壇メリットについてはどう感じていますか?

shuji_kohata
安明

一つは自分自身のやってきたことや考えを作品とは別の形で残せることです。
GD分野のアウトプットは、体感しないとわかりづらいものが多く、他の分野と比較しても価値が伝わりにくいです。
登壇という形で残すことで、実績を伝わりやすい形で残すことができます。

また、自分の考えに対して、普段関わっているコミュニティ外から意見をいただけるのもメリットの一つです。
自分の場合ですと、所属コミュニティ内で試していたことを発表しましたが、外部の人にとっても役に立つ手法になるかはわからない部分がありました。
しかし、実際に登壇を通して参加いただいた方から「そういう見方もあるのかと視点が広がった。ぜひ使ってみたい」という意見をいただけて励みになりました。また「提案手法の前段階で必要なことがあるはず。その前段階を埋める手法もあるとありがたい」といったより良くするための提案もいただけました。
意見いただいた部分は、当時自力で解決していた部分であったため、該当部分の補強がいることに気づかされる良い機会にもなりました。

ご自身の経験や過去の応募者の反応から、応募するメリットはどう感じていますか?

shuji_kohata
安明

応募を通して、自分の考えや経験を振り返ってみることで、自分の考えや経験への解像度がより高くなることが良い点だと思います。

私はCEDEC2024で「感情の動きを辿ってみよう ~プレイヤージャーニーマップを用いたUX分析~」というセッションで応募し、開発者間で認識をそろえるために感情の動きをたどる方法を紹介しました。

以前からこの手法はいろいろなゲームの開発に応用がきくだろうと漠然と思ってはいたものの、具体的にこのケースではこういう感情をたどればよい!というところまではつめられていないケースもありました。
応募するにあたって、考えが不足していた部分は協力してくれた方々と再考し、漠然としていた感情分析ケースについても具体化でき、誰かの役に立てる方法にできるという感触を改めて得られることができました。

「CEDECの応募が自己の考えや経験を振り返る場になる」
というのがとても大きな価値だと思います。

最後に、応募するか迷っている方へメッセージをお願いします。

shuji_kohata
安明

CEDECというと堅い印象を受けるかもしれませんが、応募するものが必ずしも体系化されたものである必要はありません。

日々多様化していき、成熟していないゲームデザインの分野だからこそ、経験談(成功談、失敗談)から体系化された手法まで幅広く知見が求められています!
例えば、あなたが担当した1つの仕様について意図や考えの振り返りの話でも良いですし、失敗を繰り返した試行錯誤の結果から得た体験談、レベル配置やアクション調整の長年の積み上げてきたコツなど、あなたが経験したものや考えたことがきっと誰かの役に立つ貴重な知見になります!

ぜひ気兼ねなく応募してください!