CEDEC2025
アカデミック分野インタビュー
アカデミック分野 鳴海 拓志
アカデミック分野における最新の特徴を教えてください。
学術分野では、エンターテインメントを拡張したり再定義したりするような技術とその活用方法に関する研究が活発に行われています。本年は特に、生成AIを活用したコンテンツ制作や、NeRFなどの先端的なCG技術を用いた視覚表現が技術的に注目を集めています。触覚をはじめとする五感に訴える多感覚インタラクションやVR/AR技術の開発や、その活用に関する心理学・認知科学的探究も引き続き活発に議論されている領域です。さらには昨年のCEDECで「推し活」と宗教との類似性を論じる発表があったように、工学に限らず人文社会科学系の見地からエンターテインメントに新しい視点をもたらす研究の存在感もますます大きくなっています。
この分野で特に求めているトピックを教えてください。
学術研究分野では、エンターテインメント技術の未来を切り拓く先端的な研究を求めています。特に、感覚提示技術やセンシング、人間拡張など、インタラクション技術に関する研究が重要です。また、NeRFや3D Gaussian Splattingをはじめとする最先端のCG技術や、AIと人間の共創を支援する技術や生成系AIの応用、VR/AR/MRやその先にある次世代技術の可能性を探る研究も重要です。技術の開発のみならず、エンターテインメントの評価手法やアクセシビリティ向上、教育や福祉への応用研究、人文科学や社会科学の視点を取り入れた学際的な研究、現場との共創による事例研究も大いに歓迎します。
CEDECでの登壇メリットについてはどう感じていますか?
CEDECで登壇することは、自分の研究を業界の実務者や研究者に発信する貴重な機会です。現場サイドからのフィードバックを受けることで、実用性の観点からの知見や学術サイドにはない着想を得られるかもしれません。講演を通じて生まれるネットワークは、新たな共同研究やプロジェクトの可能性を広げる場にもなります。また発表内容がメディアや業界で注目されることで、研究の認知度向上やサイエンスコミュニケーション、実社会への知見の還元などのきっかけにもなります。
ご自身の経験や過去の応募者の反応から、応募するメリットはどう感じていますか?
応募するプロセスそのものが、研究内容を体系的に整理したり、新しい着想を得るきっかけになるかもしれません。これまで曖昧だったアイデアが言語化され、具体的な形になることで、自身の研究に対する理解が深まり、今後の研究の指針を見出せる可能性があります。応募内容が採用されなくても、運営委員からのフィードバックや他の応募者の発表内容を参考にすることで、自分の研究と産業やエンターテインメント分野との適切な接点を見出すヒントを得られることが期待できます。
最後に、応募するか迷っている方へメッセージをお願いします。
CEDECは、研究成果を産業界やエンターテインメントの最前線にいる開発者たちに直接共有できる数少ない場です。学術研究の枠を越え、実際に現場で働く開発者・クリエイターからのフィードバックを得ることで、研究の社会的インパクトを拡張する絶好の機会です。研究の発展のみならず、将来的な共同研究や共創プロジェクトのきっかけにも出会えるかもしれません。エンターテインメントの現場が求めているニーズを知り、現場の視点とあなたの研究が交わることで、新たなアイデアや応用可能性が生まれることもあるでしょう。CEDECでの発表を通じて、エンターテインメントの未来を一緒に切り開いていきましょう!