7/23 第7会場 招待 13:20-14:20 60 レギュラーセッション

共創としての「推し活」:ファンダム・コミュニティのフィールドワーク

岡部 大介

セッション分野
AC(学術研究)
セッション難易度
求められるスキル
- 推し活やコスプレなどのファンダムに関心がある方
- ファンとビジネスの関係(ファンダムエコノミー)や、ファンコミュニティにおける協働に関心がある方
得られる知見
ファンダム・カルチャーやコスプレイヤーの事例を通じた、以下のような項目に関する理解
- 単なる消費者としてではなく、能動的に価値を生成する「プロデュセイジ」としてファンダムを捉える視点
- 知識やスキルがコミュニティ内で共有され、新たな創造が生まれる「集合的知性」と「参加型文化」の実態
- フィールドワークを通して、一見不合理に見える行動の背後にある彼ら彼女ら特有の合理性を理解する方法
- ファンカルチャーに日常的に見られる「交歓」の文化が、研究や仕事の実践における協働にも通じる可能性
写真撮影 / SNS投稿
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セッション内容

ファンがあるコンテンツに触発された際、彼ら彼女らはどのようにコミュニティに参加し、遊び、長年活発に活動し続けるのでしょうか?

BTSのファンダム(ARMY)やコスプレイヤーのコミュニティでは、ファンが単なる受け手(消費者)に留まらず、熱狂的な創造性を発揮する実践が数多く観察されます。例えば、ファンが自主的に外国語の動画に翻訳字幕を付けて国際的な視聴を可能にしたり、市販の安価な商品を独創的な工夫で誰もが目を見張るような精巧な小道具(プロップ)に作り変え、そのノウハウをコミュニティ内で共有したりする事例です。

こうした活動の背景には、消費から創作へと能動的に関わっていく「参加型文化」と、専門家でなくとも知識を集合的に形成・発展させる「集合的知性」というメカニズムが存在します。

本講演では、おおよそ20年間のフィールドワーク(現場に参与し、観察する質的な調査法)に基づき、これらのファンコミュニティで価値が生まれるダイナミズムを分析します。ファンが自ら面白さや愉しさを見出し、仲間と共有し、活動を継続していくプロセスを理解することを通じて、エンターテインメントや持続可能なコミュニティのデザインについて考察します。

講演者

  • 岡部 大介

    岡部 大介

    東京都市大学