CEDEC運営委員会インタビュー

CEDEC 2018 若手公募者向けメッセージ
~若手の目線から見た経験や知見共有をぜひCEDECで

2018年8月22日から24日の3日間、パシフィコ横浜で開催される「 CEDEC 2018(コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2018)」。現在、セッション講演者を4月1日まで募集中だ。

20周年を迎えるCEDECだが、講演による知見の共有のみならず、ゲーム産業の若手が新たな仲間との出会いやキャリアのきっかけとしても機能している。
本稿では、CEDEC2018への講演応募を検討している若手に向けて、CEDEC登壇がもたらす効果について副委員長の齊藤 康幸氏に伺った。


――まずは自己紹介をお願いします。

齊藤氏 : 株式会社ヘキサドライブの東京支社の責任者をしています。業界歴は20年近くになりますが、CEDECには2012年から運営に関わるようになりまして、昨年から副委員長兼セッションワーキンググループのリーダーとして、全てのセッションを取りまとめる立場を務めています。

齊藤 康幸

――ゲーム産業内におけるCEDECの立ち位置についてお教えください。

齊藤氏 : CEDECはゲームを中心としたコンピュータエンターテインメント業界で活躍されているプロフェッショナルの方々が知識や情報を共有することで、お互いの技術力、開発力を上げていくことを目指しています。それによって、日本のゲーム業界全体の発展に貢献することを目的としています。

――若手にフォーカスしている理由をお聞かせください。

齊藤氏 : CEDEC自体の大きな目標として、全てのゲーム開発者がCEDECに注目して参加する、というところを目指しているのですが、業界自体も成熟してきているなかで若手の開発者にももっとアプローチしたいと考えました。
CEDECは最先端技術の発信の場という印象をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、一方では業界全体の底上げをしていくには、若手も講演を聞くにとどまらず、自身も発信側にまわることで本人も業界もいい方向に変わっていけることがあるのではないかと思っています。

――若手の応募者に期待していることはなんでしょうか?

齊藤氏 : まずは恐れずに応募してほしいと思っています。たとえ自分たちの現場にとって当たり前であることでも、他の現場では必要とされている知見である可能性もあります。なので、この情報は必要とされていないのでは...と考えてしまうのはもったいないことです。

自らの知見を講演としてまとめることで、自分が一体何をしてきたのか、そして実際に何が起こったのか、ということをあらためて体系的に整理することができ、新たに気付きが得られることもあると思います。うまくいかなかったことであっても、次に繋げるための材料になります。

実際に応募しても、残念ながら採択されないということもあるかと思いますが、これまで自分のしてきたことをまとめ上げて、応募するという過程で得られた自分自身の振り返りは必ず無駄にはならないでしょう。

齊藤 康幸

もうひとつ、失敗事例について。若手の方であると、初めは上手くいかないことも多いと思います。失敗事例は外に出しにくいかと思いますが、失敗こそきちんと分析が可能だと思っています。なぜそうなってしまったのか、そして今後どうするべきなのかという知見は、自分自身の振り返りになるだけでなく、似たような境遇の他の方が同じような失敗をしないための事前情報として非常に有用だと思います。

できれば、失敗したことを踏まえて成功に導いたところまでお話して頂けるのが一番良いかと思いますが、同じように悩んでいる方々へもその失敗を共有でき、更に、分析がきちんとされており応用可能である状態であれば、他の現場にとっても非常に参考になるものなので、業界全体としても非常に価値のあるものになるのではないでしょうか。

また、逆に成功事例は事実を並べてなぜそれがうまくいったのかという分析とその裏打ちがないと、聞き手にとって有益な情報となりうるのかの判断が難しく、私達も採択しにくい場合があります。聴講者にとって、ある事例の原因と結果が簡単に読み取れることがとても重要だと考えています。

――若手ならではの講演や、若手ならではの視点に期待することはありますか?

齊藤氏 : ベテランの開発者の方々は多くの成功や失敗の経験がありますので、ある程度結果が予め見えるところがあると思います。しかし若手からすると、本当にそのような結果になるのだろうかと疑問に思うこともあると思います。それゆえに、自分たちならばこうする、というようなベテランの方々とは違った方法を考えることもあるかもしれません。固定観念のようなものを持っていないからこそ、新しい取り組みが生まれ、今までにない結果や価値観を呼び込む流れに繋がっていくのではないかと思っています。

CEDECは2018年の今年、20周年を迎えますが、その間に技術を中心とした多くのことが目まぐるしく進化や変化しており、ゲーム開発の現場も大きな変化を余儀なくされてきました。だからこそ、若手の目線から見た、今の時代にあった考えもふんだんに取り入れるべきではないでしょうか。若手が自分の考えや、失敗談も含めて発信することによって業界全体にとっても非常に良い効果があると思っています。

――若手の方が応募する際に気をつけてほしい点や、アドバイスなどを教えてください。

齊藤氏 : 若手のセッションだからといって、内容が甘くてもいいといったことはもちろんありません。ですので、たとえば先輩や同世代の方々が聞きたいと思われるような講演になるように、周囲にアドバイスをもらうことで、価値のある講演内容にまとめていけるのではないでしょうか。

講演の内容が整った後は、応募フォームの記入のポイントなどを、こちらで「カレーの作り方」を例にして書いたものをご用意していますので、そちらを参考にして記入して頂けると、採択される可能性も高まるのではないかと思います。

公募フォームの書き方 良い例・悪い例
http://cedec.cesa.or.jp/2018/koubo/example.html

――若手の方が一人で登壇するだけではなく、例えば同じチームの方と登壇したり、パネルディスカッションのような形式もあるかと思いますが、それについてはどう思われますか?

齊藤氏 : CEDECではセッション形式定義を定めていますので、その要件を満たしており、講演の内容が最も伝わりやすい形式であれば問題ないかと思いますが、パネルディスカッション等では、議論が散漫にならないようにまとめる算段が必要になります。行き当たりばったりの対談では難しいかと思いますので、ある程度骨子をまとめた台本を作って頂く等があれば安心だと思います。CEDECでは知見の共有を重要視していますので、それに合うような講演のまとめ方にして頂ければと思います。

CEDECセッション形式定義
http://cedec.cesa.or.jp/2018/koubo/session.html

――応募を考えている方へ向けて、どういった気持ちで挑んでほしいですか?

齊藤氏 : 若手ならではのお話はあると思いますが、それだけで終わらず、講演を聞いた聞き手が何を得られるのかを意識した内容に組み立ててもらいたいと思います。

――CEDECの講演に応募するメリットとして、自分自身の振り返りになるといったお話がありましたが、その他のメリットはありますでしょうか。

齊藤氏 : 講演をした後、それに共感できる方々や、同じ問題に取り組む方々の意見やフィードバックを得られるといったこともメリットです。また、そのような人たちとのコミュニティを形成することもでき、その後も意見交換などができる知り合いが増えるということもあります。

そして、CEDECではDevelopers' Nightという公式のパーティーを開催していますし、例年最終日の終了直後には会場付近で聴講者を中心に集まる有志の懇親会もたくさん行われていますので、そこに参加することで実際に生のフィードバックを聞くこともでき、自分では気付かなかった見直すべき点などもその場ですぐに得ることができます。さらに講演者は特典として、その年の講演者のみが参加できるウェルカムパーティーもあり、各分野のエキスパートとお話ができる貴重な機会になります。

CEDECは自分が発信した以上に返ってくることがとても大きいメリットだと思います。

――ありがとうございました。

特設ページ

スポンサープログラム

関連リンク

CEDEC CHALLENGE「PERACON2017(ペラ企画コンテスト)」結果発表 CESAゲーム開発技術ロードマップ2016 ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査 2017

CEDiL

CEDiL

CEDiL CEDEC Digital Library は、過去にCEDECで行われた講演の資料アーカイブです。

CEDECチャンネル

CEDECチャンネル CEDECチャンネルYoutube版