7/22 第9会場 公募 16:40-17:40 60 パネルディスカッション

ゲーム開発関連資料を「文化資源」としてどう残すか? ―公的機関との連携に向けての対話

尾鼻 崇

細井 浩一

浜村 弘一

三津原 敏

三宅 陽一郎

小出 治都子

セッション分野
BP(ビジネス&プロデュース)
セッション関連分野
AC
対象プラットフォーム
なし
セッション難易度
求められるスキル
1)社内アーカイブ、資産管理、法務・バックオフィス担当者
 機密情報を含む開発資料の保存に課題を感じている方。

2)ゲームの保存・研究、文化振興に関心のある開発者
 「文化資源」としてのゲームアーカイブ構想の現在地を知り、産業界と公的機関や大学がどのように連携できるのか関心のある方。
得られる知見
1)公的アーカイブの現状と展望
 公的機関によるプロジェクトの動向と、将来的な公的機関のアーカイブ構想におけるゲームの位置づけについて理解できます。

2)アーカイブ実務の現実的な課題整理
 リソースが限られる現場で、実際にアーカイブを進める際に直面する課題が整理され、自社で保存を検討する際の指標として機能します。

3)産官学連携のネットワーク構築
 資料保存について相談できる公的な窓口の存在や、ゲーム産業界内での連携の可能性とその意義についての情報が得られます。
写真撮影 / SNS投稿
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セッション内容

ゲームの開発過程で生じるゲーム開発関連資料(中間生成物)は、技術と文化を伝える極めて重要な一次資料です。マンガやアニメーションと同様に、ゲーム資料も散逸防止のために公的機関で収蔵すべきという声がありますが、ゲームの資料は企業の「機密情報」そのものであり、公的機関での寄託・アーカイブ化には高いハードルが存在します。
 そこで本セッションでは、「ゲーム資料の保存活用」について、これまで様々な面から資料保存を検討してきたメンバーを中心に、実務に即した保存のためのガイドライン策定にむけての議論を行います。そのためのスタートアップとして、ゲーム開発関連資料の「文化資源としての価値」を定義づけながら現実的な課題を整理し、「資料を公的に保存するメリット・デメリットはなにか」「権利や契約の課題をクリアし、資料を預ける/預かるにはどうすれば良いか」をテーマに、産業界と公的アーカイブ機関との間での連携を模索するためのプロセスを考えます。

講演者

  • 尾鼻 崇

    尾鼻 崇

    立命館大学

    映像学部  准教授

    講演者プロフィール

    博士(学術)。立命館大学映像学部准教授。独立行政法人国立美術館中間生成物保存活用委託事業リサーチャー。ゲームアーカイブやその利活用、ゲーム音響の研究を専門とする。日本学術振興会特別研究員、立命館大学衣笠総合研究機構研究員、中部大学人文学部准教授、大阪国際工科専門職大学工科学部准教授等を経て現職。「文化庁メディア芸術連携基盤等整備推進事業」においてゲームアーカイブに係る諸事業のコーディネートに従事。著作・分担執筆に『映画音楽からゲームオーディオへ』、『クリティカル・ワード ポピュラー音楽 〈聴く〉を広げる・更新する』、『文化情報学事典』など。ゲーム音楽展「Ludo-Musica」ディレクター、文化庁「のこす!いかす!!マンガ・アニメ・ゲーム展」プロジェクトマネージャーなどを担当。

    受講者へのメッセージ

    ゲーム開発関連資料(中間生成物)は、創造の過程や技術、産業の記憶を伝える重要な文化資源である一方、機密情報や権利、保管コストなど多くの課題を抱えています。だからこそ本セッションでは、まず「何を、どのように、何のために残すのか」という基本的な問いから出発し、産業界の自由な創造や開発の妨げにならない保存のあり方について、産業界と公的機関が互いの立場を理解しながら考え始めるスタートアップの場にできればと思います。

  • 細井 浩一

    細井 浩一

    ZEN大学

    コンテンツ産業史アーカイブ研究センター  所長

    講演者プロフィール

    1994年より立命館大学に勤務。2007年の映像学部の設置を主導し、教授を務める。同大学ではアート・リサーチセンター、ゲーム研究センターの開設に関わり、1998年に開始したゲーム保存活動である「ゲームアーカイブ・プロジェクト」は、現在も「RCGSコレクション」として拡充されている。2010年日本デジタルゲーム学会会長、2019年文科省「日本文化資源デジタルアーカイブ国際共同研究拠点」拠点長。日本デジタルゲーム学会賞(2015年)、デジタルアーカイブ産業賞(2020年)、京都市芸術振興賞(2024年)などを受賞。2025年 ZEN大学教授およびコンテンツ産業史アーカイブ研究センター所長に就任。

    受講者へのメッセージ

    日本が生み出してきたゲームは、マンガやアニメと並んで重要な基幹産業であるとともに貴重な文化資源でもあります。そのゲームを体系的に整理、保存していく営為については、主体となる産業界、学術界、公的機関のそれぞれに目的や考え方がありますが、特に初期のゲームについての資料体や証言を残すための制約が厳しくなっていることも事実です。このセッションでは、それぞれの主体の立場の違いを整理しつつ、どのような一致点を見出していくことができるかについて率直な議論を行いたいと思います。

  • 浜村 弘一

    浜村 弘一

    株式会社KADOKAWA

    デジタルエンタテインメント担当  シニアアドバイザー

    講演者プロフィール

    1961年、大阪生まれ。早稲田大学卒。ゲーム総合誌『週刊ファミ通』編集長、エンターブレイン社長、KADOKAWA常務を経て、現在は同社デジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザー。様々な角度からゲーム業界の動向を分析し、コラムの執筆なども手掛ける。また、日本eスポーツ協会の理事として、日本におけるeスポーツ産業の普及とさらなる成長・発展に向けて活動中。また、一般社団法人デジタルメディア協会理事、株式会社GameWith社外取締役、立命館大学映像学部客員教授を務める。ほか、ZEN大学コンテンツ産業史アーカイブ研究センター副所長として、ゲーム産業の第一人者の証言を映像と文字資料で記録した「オーラルヒストリー」インタビュアーとして活躍。

    受講者へのメッセージ

    ゲームの歴史は、産業として認められてから40数年ほどしか経っていません。他のコンテンツ産業と比較しても、長いものではありません。しかしその短い期間にも関わらず、大切な資料は失われ、日々散逸しているのが現状です。ゲームを、文化として産業として後世に残すためにも、歴史を記録し、資産を残すことの意義を考えられればと思います。

  • 三津原 敏

    三津原 敏

    株式会社ミラクルアーツ

    代表取締役社長

    講演者プロフィール

    1990年に株式会社ハル研究所入社。1999年に退社し有限会社ミラクルアーツを設立、ポケットモンスターシリーズ、大乱闘スマッシュブラザーズX、新光神話パルテナの鏡などに携わる。2012年にハル研究所へ復職のち2015年に代表取締役社長へ就任し、星のカービィシリーズをプロデュース。
    現在はハル研究所役員を退任し、株式会社ミラクルアーツ代表取締役兼プログラマーとして活動中。

    受講者へのメッセージ

    株式会社ハル研究所でパソコンミニという商品を発売しようと奮闘している時、思ったよりもデジタルゲームの保存状態が良くない事に気が付きました。このままでは記録が残らずに伝承のみが残る…という、デジタルな時代においてもったいない結果になりかねないと考えていました。
    この講演をきっかけに、ひとりでも多くの方がデジタルコンテンツの保存について興味を持ってくださることを期待しています。

  • 三宅 陽一郎

    三宅 陽一郎

    株式会社スクウェア・エニックス

    イノベーション技術開発ディビジョン  リードAIリサーチャー

    講演者プロフィール

    京都大学で数学を専攻、大阪大学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程を経て博士(工学、東京大学)。東京藝術大学 映像研究科 ゲーム・インタラクティブアート専攻教授、東京大学生産技術研究所特任教授。2004年よりデジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。著書に『人工知能の作り方』『ゲームAI技術入門』『戦略ゲームAI解体新書』、共著に『スクウェア・エニックスのAI』『FINAL FANTASY XVの人工知能』『ゲーム情報学概論』(CEDEC AWARDS 2018 著述賞)など多数。『大規模デジタルゲームにおける人工知能の一般的体系と実装 -FINAL FANTASY XVの実例を基に-』にて2020年度人工知能学会論文賞を受賞。

    受講者へのメッセージ

    ゲーム産業は変革期を迎えつつありますが、そのタイミングこそ、自分の足場を見直す時期でもあります。過去を整理することは未来をデザインすることであり、資料を保存し編纂することは、これまでゲーム産業がたどってきた道のりを示し、未来への展望を開きます。また、ゲーム産業自身の歴史を整理し社会に公開していくことは、新しい文化というチャンネルを企業が持つことにつながります。そうすることで、これまでつながりを持てなかった大学や博物館とも協調することができるようになります。ゲーム開発資料保存・編纂の試みは、ゲーム産業全体で協力して行うことで、日本のゲーム開発の歴史の全体像を取り戻し、日本のゲーム産業全体が未来への力を得ることができます。本講演をお聴き頂き、保存の文化的意義を知ることで、それぞれの企業における資料編纂の取り組みを始められる一助となるかと考えております。本講演をお聴き頂き関心を抱いた方は、ぜひ、ご連絡ください。詳細は講演資料に記載いたします。また、ぜひ講演後の質問部屋へお越しください。よろしくお願いいたします。

  • 小出 治都子

    小出 治都子

    一般社団法人コトモノラボ

    代表理事

    講演者プロフィール

    一般社団法人コトモノラボ代表理事およびZEN大学コンテンツ産業史アーカイブ研究センター准教授。京都産業大学ギャラリー学芸員、大阪樟蔭女子大学学芸学部化粧ファッション学科講師を経て、現職。専門は化粧文化論、乙女ゲーム論、ゲーム展示論。 「ゲーム展TEN」(2018) 、「ギャラクシアン→ギャラガ→ギャプラス-ナムコ開発関連資料からみるアーケードゲームの製作過程-」(2019)、「『三国志』水魚之交」(2022)「Ludo-musicaⅡ」(2022)などゲームに関する展覧会を企画、開催している。また、メディア芸術連携基盤等整備推進事業の成果のひとつとして2024年に「のこす!いかす!!マンガ・アニメ・ゲーム展」、2025年に「のこす!いかす!!マンガ・アニメ・ゲーム展 in Tokyo 2025」を開催した。

    受講者へのメッセージ

    ゲーム開発関連資料を文化資源として残すためにはどんなことが必要でしょうか。そもそも「ゲーム資料を残す」とは何を指し、残すことで何ができるのでしょうか。本セッションではゲーム資料の保存、そして活用についての
    「意義」と「課題」を皆さんとともに考えていきたいと思います。